プロダイバー&ブロガーのティージェーです。
スキューバダイビングを始めた方の多くの人が苦手なダイビングスキルはやはり中性浮力ではないでしょうか?
僕たちが陸上で生活しているときは普通に歩いたり、走ったりしていますが、水中ではそうもいきません。
水底にはサンゴ礁が群生していたり、砂地の中にたくさんの生物が生息していたり、ダイビングする場所によっては、水底の見えない中層を泳ぐこともあります。
中性浮力が上手にとれないとそのような環境でダイビングを楽しむことができません。
それに、サンゴ礁を壊してしまったり、砂を巻き上げてしまい、他のダイバーに迷惑をかけてしまうこともあります。
しかし、中性浮力はダイビング中に意識して練習すれば誰でも上手になります。
今回は中性浮力のとりかたについて記事を書きました。
僕は1997年からプロダイバーをしており、今まで多くのダイバーを育成してきました。
今でもプロダイバーを目指すダイバーの育成などを手掛けています。
中性浮力が上手にとれないという方は是非参考にしてください。
中性浮力上達のための5つのテクニック
中性浮力を上手にとれるようになるとダイビング中のストレスが減り、水中での視野が広がりダイビングが今以上にもっと楽しくなります。
ライセンス講習でも中性浮力のとりかたについて習いますが、苦手にしている方は多いのではないでしょうか?
ライセンス講習では、たくさんのダイビングスキルを身につける必要があるため、中性浮力ばかりに練習時間を費やすわけにもいきません。
そのため、ダイビングの講習が終了しても中性浮力が苦手なダイバーがたくさんいます。
中性浮力を身につけるのにはもちろん個人差はありますが、意識と練習次第で誰でも上達します。
中性浮力上達のコツは次の5つです。
- ダイビング前のビジュアライゼーション
- ダイビング中には中性浮力を意識する
- ウェイト量のチェック
- 中性浮力はBCDと呼吸を上手につかう
- 中性浮力を練習できる環境でダイビングする
ダイビング前のビジュアライゼーション
ダイビング前のビジュアライゼーションは中性浮力を上達させるのにとても効果的な方法です。
ビジュアライゼーションは何かというと、簡単にいうとイメージトレーニングです。
ダイビング器材をつけて水中に潜り、流線形をとってきれいな姿勢で水中を泳いでいる自分をイメージします。
例えばイメージしているとき、体が沈んできたら大きくゆっくり息を吸うことによって体がまた浮く姿を想像します。
逆に体が浮いてきたら、大きく息を吐き、体が沈む姿を想像します。
このように、「中性浮力を上手にとれている」自分を想像することはとても大切です。
例えば、フライパンでたまご焼きを一度作り、焦がしてしまったとしましょう。
2回目に作る前には、もう少し弱火にしようとか考え、きれいに焼けているたまご焼きをイメージしませんか?
ダイビングも同じで、実際には中性浮力がうまくとれなくても、上手に中性浮力がとれている自分を想像することはとても大切なことです。
ダイビング前にはビジュアライゼーション(イメージトレーニング)を必ず行いましょう。
このテクニックはダイビング後にすぐ行うことも効果的です。
ダイビング後には何が上手にできなかったのか、まだ鮮明に覚えているため、上手にできなかった部分を上手にできるようになったとイメージするのです。
ダイビング中には中性浮力を意識する
ダイビング中には中性浮力を意識しましょう。
え??
当然のことでしょう?と思われる方も多いと思うのですが、中性浮力を意識できていないダイバーは意外と多いです。
それは何故でしょうか?
多くの場合、講習が終わると、そのあとはファンダイビングに申し込みます。
ファンダイビングではガイドさんが水中を案内してくれ、たくさんのお魚を紹介してくれます。
そう、ファンダイビングは「遊ぶダイビング」で、中性浮力を練習するダイビングではないのです。
ガイドさんもせっかく潜りにきてくれたのだから、ダイビングを楽しんで欲しいと思っています。
水中でガイドさんに呼ばれ、近くに行ったら水中スレートにお魚の名前が書いてあり、指をさして教えてくれる・・。
そんな経験は皆さんもあるとおもいます。
ガイドさんはたくさんの魚を紹介したいので、水中を泳ぎ回ります。
皆さんがファンダイビングに行った時もガイドさんの後ろについてたくさん泳いだでしょう?
浮力の練習をしてもらおうと思ってガイドする人はいません。
そのため、ファンダイブの時間はあっという間にすぎてしまい、中々中性浮力について意識することはできません。
ですから、中性浮力が上手になりたいダイバーは、ダイビングの時には毎回、自分で中性浮力を意識する必要があります。
ウェイト量のチェックとつける位置の確認
適正なウェイト量にすること、つけたウェイト位置の調整も中性浮力を上達するためには必要です。
適正なウェイト量
よく聞くのが、「上手なダイバーはウェイト量が少ない」ということ。
上手なダイバーに見せるために、なるべくウェイト量を減らそうとする初心者ダイバーが多くいます。
しかし、別に上手なダイバーはウェイト量が少ないわけではありません。
適正ウェイトの結果、ウェイト量が少ないだけなのです。
それは、きている保護スーツの厚さであったり、BCDなどのダイビング器材の種類によっても変わってきます。
軽すぎるウェイトだと、まず水中に潜る(潜降)の時に沈めません。
また、ダイビング中に浅瀬にきた時、すぐに体が浮いてしまうのは、多くの場合、ウェイト量が適正でないことが原因です。
ウェイト量が軽いと、一般的なフィートファースト潜降(足から水中に沈んでいく方法)ができません。
もちろんウェイトのつけすぎも問題です。
水面で浮力を確保することも難しいですし、水中でバランスをとることも難しくなります。
では、適正なウェイト量の計測の仕方はどのようにすればいいのでしょうか?
適切なウェイト量の計測の仕方
- 全てのダイビング器材を装着し、足のつかない水面へ移動(BCDに浮力を確保しておく)
- レギュレーターを加えてBCDから全ての空気を抜く
- 息を吐くとゆっくり水中に体が沈む
- 息を大きく吸うとフィンキックしなくても体がゆっくり浮く(フィンキックしないこと!)
- 体が浮いた時、水面が目線のところにくる(アゴまで出てしまうとウェイトが軽すぎ)
- 4と5をゆっくり繰り返す。
適正なウェイト量の計測方法ですが基本は最初のダイビング講習で習うことなのですが、中には習っていない人もいます。
すると自分の適正なウェイト方法がわからない人もいるので、自分のウェイト量がわからない方は、次回のダイビングの時に計測してみてください。
ウェイト量は体重が変わったり、使用する保護スーツなどのダイビング器材が変わると当然変わります。
そのため、レンタル器材だと、適正なウェイト量を毎回計測するのが難しいこともあります。
ウェイトの位置
ウェイトの位置も気にしていない方が多くいます。
ウェイトの位置が左右均等についていないと当然どちらかに傾き、水中でのバランスがとれません。
BCD一体型ウェイトシステムを使っているダイバーはBCDのウェイトポケットにいれるウェイトの量をなるべく左右同じ重さにしましょう。
ウェイトベルトを利用しているダイバーも同じです。
バックルをおヘソに合わせます。
その時のウェイトの位置はなるべくバックル近くの左右に振り分けましょう。
バックルの近くにウェイトを持ってくることによって、水平姿勢がとりやすくなります。
特に、スチールのシリンダー(タンク)を使ってダイビングをする場合、シリンダー(タンク)自体がかなり重いので、ウェイトの位置はなるべくおヘソの方にしましょう。
中性浮力は呼吸とBCDを上手につかう
中性浮力はBCDと呼吸を上手につかうことが大切です。
中性浮力が上手にとれている時の状態は下記のようになります。
ゆっくり大きく息を吸うとゆっくりと体が浮く
ゆっくり大きく息を吐くとゆっくりと体が沈む
中性浮力が上手にとれている時の呼吸
呼吸の意識
最初に呼吸についてです。
ゆっくり大きく息を吸うとゆっくりと体が浮きます。
息を吸った時にすぐに体が浮いてしまう場合、プラス浮力が強すぎです。
かといって、息をめいいっぱい吸ってこれ以上息が吸えない・・その状態でやっと体が浮いてきた・・、これはマイナス浮力が強すぎです。
息を吸っても体が浮かない場合、少しBCDに空気を入れましょう。
ここで意識しなければならないのは、あくまでも「普通に呼吸する」ということです。
浮力コントロールに適正な場合、ゆっくりと息を吸うとゆっくりと体は浮きます。
ゆっくり大きく息を吐くとゆっくりと体が沈みます。
息を吐いた時に、すぐに体が沈む場合、マイナス浮力が強すぎです。
逆に息を吐いても吐いても体が沈まない時、プラス浮力が強すぎだということになります。
息を吐いても体が沈まない場合には、BCDから少し空気を抜きましょう。
浮力コントロールに適正な場合、ゆっくりと息を吐くとゆっくりと体は沈みます。
中性浮力を練習できる環境でダイビングする
中性浮力のスキルをアップするなら中性浮力が練習できる環境でダイビングをしましょう。
一般のファンダイビングは、中性浮力を練習する場所ではなく、お魚を観察したり、水中を探索したりと、中性浮力を練習するダイビングではなく、遊ぶダイビングです。
中性浮力を練習したいのなら練習できる環境でダイビングをしましょう。
中性浮力を練習できる環境で実践しやすいものを二つご紹介します。
- 中性浮力の練習しやすい環境の選定
- セルフダイビングする
- 浮力コントロールの講習を受講する
中性浮力の練習しやすい環境の選定
一つ目は中性浮力の練習しやすい環境の選定です。
流れがある場所では浮力コントロールの練習がうまくできません。
深い水深ではエアー消費が早く、ゆっくり練習できません。
ビーチからエントリーでき、流れもなく、比較的水深が浅い環境でのダイビングポイントが最適です。
セルフダイビングする
ガイドさんや、よく知らないダイバーと一緒にダイビングをすると中々浮力コントロールの練習がしにくいですよね。
しかし、セルフダイビングならゆっくりと練習することができます。
バディが必要というハードルはありますが、中性浮力を練習するなら自分たちのペースでゆっくりと練習できるセルフダイビングが最適です。
ダイビングを始めたばかりでもセルフダイビングができる場所も結構たくさんあります。
こちらはセルフダイビングができる場所をまとめたサイトのリンクも貼っておきますね。
浮力コントロールの講習を受講する
浮力コントロール上達の近道は、プロフェッショナルから教えてもらう、というのが一番いいでしょう。
我流だと時間が掛かりますが、やはり教えてもらうと上達は早いです。
多くのダイビング指導団体では、中性浮力のスペシャルティ講習のプログラムなどが用意されています。
しかし、注意しなければならないのは、受講するダイビングショツプです。
結構いい加減な講習をしているダイビングショップもありますので、申し込む場合は注意してください。
まとめ【ダイビングで中性浮力が上手になる5つのテクニック】
中性浮力を身につけると、ダイビング中に余裕ができ、視野が広がりダイビングが今以上とっても楽しくなります。
中性浮力はちょっとした意識と練習で上手になります。
上達の速度は人それぞれですが、練習すれば絶対に上手になります。
意識してほしいステップは5つです。
- ダイビング前のビジュアライゼーション
- ダイビング中には中性浮力を意識する
- ウェイト量のチェック
- 中性浮力はBCDと呼吸を上手につかう
- 中性浮力を練習できる環境でダイビングする
特にダイビング数はかなり潜っているけど、中々中性浮力が上達しない・・という方はダイビング中に中性浮力をとることをしっかりと意識するのを忘れないようにしてくださいね♪